端末側通信設備
端末側通信設備とは、検針・計測・監視対象となる側の通信設備ということです。以下に述べるように、色々な形態をとることができます。また、それらの組み合わせをとることもできます。
アナログ電話網利用基本構成
アナログ電話回線を、1回線/1住宅で利用する基本的な構成です。アナログ電話回線は、一般住宅に一番普及している通信網ですので、住宅に備え付けてあるメータを対象にする場合は、よく用いられます。
アナログ電話回線は、住宅に引き込まれると、端末NCUに接続されます。端末NCUで、電話機と、メータに分配されます。
センタからメータに対して通信を行う時は、通常、ノーリンギング通信という、電話が鳴動しない通信方式で行います。
ISDN網利用基本構成
ISDN電話回線を、1回線/1住宅で利用する基本的な構成です。ISDN電話回線も、一般住宅に普及している通信網ですので、住宅に備え付けてあるメータを対象にする場合は、よく用いられます。
図中、左側の構成では、ISDN電話回線に直接接続できる端末NCUを用いています。この場合、ISDN電話回線は、住宅に引き込まれると、まず端末NCUに接続されます。端末NCUで、ターミナルアダプタ(TA)と、メータに分配されます。
図中、右側の構成では、TAのアナログポートに接続する端末NCUを用いています。この場合、ISDN電話回線は、住宅に引き込まれると、まず、TAに接続されます。TAのアナログポートに、端末NCUと電話機を接続します。端末NCUはサブアドレスを付加して接続します。サブアドレスを指定して通信することにより、水道顧客の電話機の着信音を鳴らすことなく、メータとの通信が可能となります。
携帯電話網利用構成
近くに利用できる電話回線が無い場合には、携帯電話やPHSなどの無線系の電話網を使用することになります。
携帯電話網を利用する場合、通常の回線交換網を使う方式と、ネットワーク網を使う方式があります。
- ・通常の回線交換網を使う方式
- この場合、相手の電話番号を指定して通信することになります。
- ・ネットワーク網を使う方式
- この方式のものとしては、DoPa網という、DoCoMoの携帯電話網を利用した、IPネットワーク網があります。DoPa用端末NCUには、固定のIPアドレスが割り当てられます。通信は、相手のIPアドレスを指定して行います。
PHS網利用構成
近くに利用できる電話回線が無い場合には、携帯電話やPHSなどの無線系の電話網を使用することになります。
PHS網を利用する場合、通常の回線交換網を使う方式と、ネットワーク網を使う方式があります。
- ・通常の回線交換網を使う方式
- この場合、相手の電話番号を指定して通信することになります。
- ・ネットワーク網を使う方式
- この方式のものとしては、DDIポケットのPHS網とKDDIのPAS網を利用した、ネットワーク網があります。通信は、相手のアドレスをUUI(ユーザー間情報通信サービス)で指定して行います。(DDIポケットのSさん、教えていただきありがとうございました。)
ケーブルテレビ網利用構成
ケーブルテレビ網の利用は、ケーブルテレビがその地域で普及しており、かつ、ケーブルテレビ会社から検針サービスが提供されている場合は、有力な候補になるでしょう。
ケーブルテレビ回線は、家庭に入ると、分配器でCATVモデムとSOU(端末送信装置)に分配されます。SOUは、メータに接続されます。
集中検針盤利用構成
集中検針盤には、複数のメータを接続できます。マンションのような集合住宅では、各住戸個別に端末NCUを付ける代わりに、1個の端末NCUとこの集中検針盤を使用することができます。
この構成の場合、電話回線は1回線あれば、集合住宅全部を検針できますので、各住戸個別の対応が不要になるというメリットがあります。
通信網としては、上記にあげた、各種通信網が利用できます。
無線親機子機利用構成
特定小電力無線を用いた1台の無線親機と複数台の子機の構成です。無線は最大100m程度まで届きますので、集合住宅内だけではなく、近隣の住宅間でも利用可能です。
各住宅には、無線子機を付けます。無線親機には、子機と通信する機能と、センタと通信するために通信網と接続する機能を持ちます。
通信網としては、上記にあげた、各種通信網が利用できます。